『ガラスの犬 ボーム童話集』(フランク・ボーム)

ガラスの犬 ボーム童話集 (岩波少年文庫 255)作者:フランク・ボーム岩波書店Amazon本邦初訳のボーム童話集。ボームといえば、やはりアメリカでファンタジーを成立させたということが重要で、この作品集の「作者のことば」ではこのようなことが述べられていま…

『時計がない!』(小松原宏子)

時計がない! (文研ブックランド)作者:小松原宏子文研出版Amazonカバーイラストの圧が……。SFの読者であればこのカバーイラストを見た瞬間にハーモニーとかアステリズムとかいう単語が思い浮かび、ある先入観を抱くはずです。 「誕生日プレゼントはなにがほし…

『りぼんちゃん』(村上雅郁)

りぼんちゃん (フレーベル館文学の森)作者:村上雅郁フレーベル館Amazon目利きの読者のあいだで話題沸騰の新人村上雅郁の第3作が、早くも刊行されました。背が低いためにクラスで赤ちゃん扱いされている朱理は、先生から転校生の理緒の世話を頼まれます。ふた…

『月にトンジル』(佐藤まどか)

月にトンジル (読書の時間 8)作者:佐藤まどかあかね書房Amazonトールとダイキとシュンとマチの4人は、「テツヨン」という仲良しグループを作っていて、土曜の午後は必ずみんなで公園に集まって遊ぶ習慣になっていました。しかし、メンバーのひとりのダイキが…

『オイモはときどきいなくなる』(田中哲弥)

オイモはときどきいなくなる (福音館創作童話シリーズ)作者:田中 哲弥福音館書店AmazonライトノベルやSFの分野でカルト的な人気を誇る田中哲弥が児童書出版の老舗福音館書店から突如『鈴狐騒動変化城』という上方落語テイストの傑作児童文学を発表してから7…

『チョコレートのおみやげ』(岡田淳)

チョコレートのおみやげ作者:岡田 淳ビーエル出版Amazon五年生のゆきちゃんは、母の妹のみこおばさんと異人館・港というデートコースで遊んでいました。公園のベンチに座ってチョコレートを食べていると、みこおばさんは「時間がとけていくみたい」と謎めい…

『ボーダレス・ケアラー 生きてても、生きてなくてもお世話します』(山本悦子)

ボーダレス・ケアラー: 生きてても、生きてなくてもお世話します作者:山本悦子理論社Amazon「鬼ヶ島通信」連載作に加筆を加えた作品です。大学生の海斗は親の命令で、祖母の世話をすることになります。愛犬の豆蔵が死んで以来誰もつながっていないリードを持…

『おれは女の子だ』(本田久作)

おれは女の子だ (ポプラ物語館 85)作者:本田 久作ポプラ社Amazonピンク色が好きなために「女の子みたいだ」とからかわれたすばるは、「おれは女の子だよ」と宣言、そのことを家で話すと姉たちからピンク色のシャツを着たりスカートをはいたりして学校に行く…

『ドリーム77』(金重剛二)

1969年理論社刊。導入部のイラストがよいです。大きな木の根元にトンネル状の穴が空いていてそこを機関車が通ってるという、別世界の入り口としてとても魅力的なものになっています。光一くんはおかあさんと博物館から抜け出してきたようなこの古い機関車に…

『帰れ 野生のロボット』(ピーター・ブラウン/作・絵)

帰れ 野生のロボット (世界傑作童話シリーズ)作者:ピーター・ブラウン福音館書店Amazonかつて無人島に漂着してサバイバルし、野生を獲得してガンのキラリという息子も得て母親になったロボットのロズの物語『野生のロボット』の続編。破壊された身体の修理の…

『さいごのゆうれい』(斉藤倫)

さいごのゆうれい (福音館創作童話シリーズ)作者:斉藤倫福音館書店Amazon小5の夏休み、おばあちゃんの家に預けられたハジメは、滑走路を外れ空き地に着陸した飛行機から降りてきた女子ネムと出会います。自分は「さいごのゆうれい」であるというネムを「ほご…

『莉緒と古い鏡の魔法』(香坂理)

莉緒と古い鏡の魔法作者:香坂 理朝日学生新聞社Amazon第11回朝日学生新聞社児童文学賞受賞作。影が薄い系女子の莉緒は、突然のなりゆきでアンティークショップの洋館で暮らすことになります。そこにあった小箱から人の願いを叶える力を持つが危険なチャーム…

『はなの街オペラ』(森川成美)

はなの街オペラ (くもんの児童文学)作者:森川成美くもん出版Amazon大正時代、栃木から東京の音楽家の屋敷に奉公に出たはなは、そこで書生をしていた美青年響之介に導かれるように芝居の世界に入っていきます。 エンタメとしての出来は満点です。なにも持たな…

『シルリアのひとみ』(奥山和子)

1975年理論社刊のSF児童文学。様々な宇宙人が地球で生活している23世紀の未来を舞台にした宇宙冒険活劇です。太陽系パトロール長官の父を持つユリカは、宇宙銀行の貴重品預かり証である銀の腕輪をつけられていました。山育ちのユリカがトウキョウの銀河小学…

『こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ』(岡田淳)

こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ (こそあどの森の物語)作者:岡田 淳理論社Amazon2017年に完結した「こそあどの森」の番外編が出ました。森の住人たちと再会をはたせたことに、感謝しかありません。では、この感謝はなにに捧げればよいのか、それ…

『夜明けをつれてくる犬』(吉田桃子)

夜明けをつれてくる犬作者:吉田 桃子講談社Amazon美咲は言葉を口にだすことが苦手な子。唯一の友だちであった犬のレオンを亡くしてから、うまくいかないことの多い彼女の日々はさらに暗いものになりました。しかし、生花店でレオンにそっくりの犬と出会った…

『ママたちとパパたちと』(グンネル・リンデ)

ママたちとパパたちと作者:グンネル・リンデ冨山房Amazon1976年のスウェーデンの児童文学短編集。家族と性の多様性をテーマにした作品が並んでおり、その問題提起は現代でも通用するものになっています。が、子どもが軽はずみに魔法を使ってしまう作品世界で…

『晴れた日は図書館へいこう 夢のかたち』(緑川聖司)

晴れた日は図書館へいこう 夢のかたち (ポプラ文庫ピュアフル)作者:聖司, 緑川ポプラ社Amazon角野栄子の「魔女の宅急便」シリーズや斉藤洋の「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズなどのように、忘れたころに新刊が出るゆったりペースが許容されるところが…

『ぼくが消えた日』(金重剛二)

1974年偕成社刊。SFなのか不条理ものなのか判然としない奇妙な作品です。 主人公の道雄が「少年の科学」という雑誌の反物質に関する記事を読む場面から、物語は始まります。道雄はじぶんとそっくりな〈反ぼく〉と出会ってしまい、なぜか公園のベンチに変身し…

『ひかりの森のフクロウ』(広瀬寿子)

ひかりの森のフクロウ作者:寿子, 広瀬発売日: 2020/10/29メディア: 単行本 かすかな音がした。 木や草が、まるで森のように茂った庭。その庭のおくにある小さな家の中で、音がした。 古びたその家には、だれも住んでいないと、哲は思っていた。でも、たしか…

『銀河へのエレベーター』(金重剛二)

1971年理論社刊のSF児童文学。タイトルにある、デパートのエレベーターが宇宙につながっているという奇想は楽しげですが、内容はなんとも不気味で暗い侵略SFです。 まず、主人公の造形からして暗いです。小学6年生の幸平は、心臓弁膜症のため体が弱く、いつ…

『見知らぬ友』(マルセロ・ビルマヘール)

見知らぬ友 (世界傑作童話シリーズ)作者:マルセロ・ビルマヘール発売日: 2021/02/12メディア: 単行本アルゼンチンの作家による短編集。オーガフミヒロのイラストも狂気に満ちていて、他にない趣のある本になっています。 人生の苦みを感じさせる味わい深い短…

『撮影中につきおしずかに! 1 特殊効果に魔法少々』(にかいどう青)

撮影中につきおしずかに!(1): 特殊効果に魔法少々 (ポプラキミノベル に 1-1)作者:にかいどう 青発売日: 2021/04/14メディア: 単行本 「ウサギの足ってさ、むかしは切りとってお守りにしてたんだって。興味深いね」 ポプラ社の児童文庫新レーベル「ポプラキ…

『みんなふつうで、みんなへん。』(枡野浩一)

みんなふつうで、みんなへん。 (読書の時間 5)作者:枡野浩一発売日: 2021/01/06メディア: 単行本3年1組の子どもたちの勘違いや思い違いをテーマにしたショートストーリー集です。先生から「ボールをわすれずに」と言われたのを自分に都合よく解釈してずっと…

『わたし、パリにいったの』(たかどのほうこ)

わたし、パリにいったの作者:たかどのほうこ発売日: 2021/03/22メディア: 単行本姉妹の関係性とはなんなのか、これは永遠の難問です。少なくとも姉には先に生まれたというアドバンテージがあるはずですが、だからといって力関係が姉の方が上とは限らないのが…

『たいへんたいへん』(渡辺茂男/やく 長新太/え)

たいへんたいへん(イギリス昔話) (「こどものとも」人気作家のかくれた名作10選)発売日: 1998/03/01メディア: 単行本イギリスの昔話を元にした絵本。訳が渡辺茂男でイラストが長新太なので、信頼感しかありません。 頭上になにか落ちてきたことから「そらが …

『スーパー・ノヴァ』(ニコール・パンティルイーキス)

スーパー・ノヴァ作者:ニコール・パンティルイーキス発売日: 2020/11/24メディア: ハードカバーノヴァは「読めず、話せず、重い知恵遅れ」だと大人たちから思われている女子。姉のブリジットだけがノヴァに知性があることを理解していて、ノヴァの大好きな宇…

『ずっと一年生!?  トラブル解決大作戦』(宗田理)

ずっと一年生!? トラブル解決大作戦 (角川つばさ文庫)作者:宗田 理KADOKAWAAmazon2003年に角川文庫で刊行された『マミーよ永遠に』がつばさ文庫化されました。名門校私立生生学園高校には、先生よりも権力を持った名物生徒がいました。留年を繰り返してずっ…

『サイコーの通知表』(工藤純子)

サイコーの通知表 (文学の扉)作者:工藤 純子発売日: 2021/03/04メディア: 単行本2019年の『あした、また学校で』で子どもたちに「学校は、だれのものかって……考えたことはありませんか?」と問いかけたちょっと頼りなさそうな先生、ハシケン先生のクラスの物…

『世々と海くんの図書館デート 3 ハロウィンのきつねは、いたずらな魔王様といっしょにいたいのです。』(野村美月)

世々と海くんの図書館デート(3) ハロウィンのきつねは、いたずらな魔王様といっしょにいたいのです。 (講談社青い鳥文庫)作者:野村 美月,U35発売日: 2021/04/14メディア: 新書3人の姉に愛されて育ったピュアなきつねの世々と、イケメンで秀才だけど家族関係…