「カラフルな闇」(まはら三桃)

カラフルな闇

カラフルな闇

 第46回講談社児童文学新人賞の佳作をとった作品です。主人公の志帆は躁鬱気味の母親とふたり暮らし。志帆の両親は壮絶な経緯をたどって離婚しており、志帆はいまでもそのことを引きずっています。この作品のキーになるのは「闇魔女」の存在です。志帆の住む地域ではやっている都市伝説で、駅前の交差点付近に出没する黒ずくめの女を見ると幸運が訪れるとか不幸になるとかあてにならないお話です。
 過度の自罰的態度はたんなる自意識過剰の産物だったりして非常に恥ずかしいものです。そんな思春期の心理を都市伝説に絡めたアイディアはおもしろかったです。主人公の痛々しい行動をドタバタで中和したラストも成功していたと思います。課題は森絵都以降のYA作品群の中でどう独自性を出していくかということでしょう。しばらく様子見です。