「12歳からの読書案内 海外作品」(金原瑞人/監修)

12歳からの読書案内 海外作品

12歳からの読書案内 海外作品

 「12歳からの読書案内」第二弾が刊行されました。第一弾はラノベもBLもおかまいなし、性表現や暴力表現にも頓着せずに紹介する編集方針が評判になりました。今回もその挑発的な姿勢は変わっていません。
 金原瑞人は「12歳から」向けにバタイユを紹介して良識ある大人の度肝を抜きました。生田耕作訳でなくあえて光文社古典新訳文庫版を取り上げているのには初心者への配慮が感じられますが、それにしてもバタイユとは……。
 トヨザキ社長も金原瑞人と張り合ってるんだか、すごい本を紹介しています。ケッチャムの「隣の家の少女」。一切救いのない児童虐待小説です。「12歳からの読書案内」シリーズはぜひ今後もこの調子で突っ走ってもらいたいです。
 また、ブックガイドでブックガイドを紹介する斬新な技も再び披露されました。今度は「百禁書」です。これはブックガイドというよりも、どうということのない本を発禁にする権力のばかさ加減にうんざりするための本ですが、読んでおく価値はあります。
 あとがきも要注目です。金原瑞人齋藤孝にケンカを売っています。第一弾のアマゾンでのレビューでは、この本をけなした評者がそろって齋藤孝を布教するという不思議な現象が見られました。やはり金原瑞人齋藤孝は対立しているのでしょうか。それとも単にあのレビューを見て齋藤孝が嫌いになっただけなのか?どちらにしても、教育者の仮面をかぶった押しつけがましい商売人の側に与せず、読書が個人的な営みであることを大事にしている金原瑞人の姿勢を支持します。