このところあさのあつこや佐藤多佳子、森絵都ら、児童文学から一般文芸界へ進出した作家が脚光を浴びています。しかし垣根が崩れているのは児童文学と一般文芸だけではありません。児童文学のライトノベル化に伴い*1、児童文学とライトノベルを越境して活躍する作家も目立つようになりました。今回はそんな作家たちについて、児童書文庫のレーベルごとに簡単にまとめたいと思います。
カラフル文庫(ジャイブ)
- 作者: あちたろう
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2004/03
- メディア: 単行本
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- 作者: 深沢美潮,山田 J太
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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- 作者: ひかわ玲子,蕗野冬
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2005/07
- メディア: 新書
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エンタティーン倶楽部(学研)
- 作者: 南房秀久,小笠原智史
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2004/01/27
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ちなみにエンタティーン倶楽部はミステリ界から芦辺拓、ファンタジー界から沢村凛、SF界から森奈津子を招聘した実績があり、スカウトの目利きの確かさには定評があります。
ポプラポケット文庫(ポプラ社)
闘竜伝 夢への1歩―Dragon Battlers (ポプラポケット文庫)
- 作者: 渡辺仙州,岸和田ロビン
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 夏緑,山本ルンルン
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2007/03/01
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夏緑は京大の大学院理学研究科博士課程を出て、日本分子生物学会会員、宇宙作家クラブ会員でもあるという超理系作家です。作家デビューは1995年の富士見ファンタジア文庫「海賊船ガルフストリーム」です。
ポケット文庫以前のポプラ社の文庫作品にはこんなものもあります。
巨大軍船ラヴァロン―海賊少女チャリィ ターゲット〈1〉 (P‐club)
- 作者: 吉村夜,佐竹美保
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1999/07
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フォア文庫(岩崎書店・金の星社・童心社・理論社)
- 作者: 大林憲司,渡瀬のぞみ
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2004/06
- メディア: 文庫
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- 作者: 時海結以,ゆづか正成
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 2005/03
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フルティメット・アームズ〈1〉巨大ロボ・アギオス爆動 (フォア文庫)
- 作者: 蕪木統文,ちくやまきよし
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 2006/11
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大林憲司は富士見ファンタジア文庫「東北呪禁道士」で1993年にデビューした伝奇小説を得意とする作家です。「少女戦士シュリー」はヒンズー世界を舞台にしたファンタジーです。
時海結以は富士見ミステリー文庫「業多姫」で2003年にデビュー。元考古学の研究者で、歴史ものを得意としています。児童文学では他に青い鳥文庫で「あさきゆめみし」のノヴェライズを書いています。
「フルティメット・アームズ」は児童書文庫では珍しい男子向け巨大ロボットSFです。作者の蕪木統文はゲームのノヴェライズを中心に活躍しています。
青い鳥文庫(講談社)
1980年創刊。フォア文庫と並んで児童書文庫を代表するレーベルです。最近はイラストにCLAMPを起用したりと、児童書のライトノベル化にも一役買っています。が、児童文学とライトノベルの両方で活躍している作家いないようです。先ほど紹介した時海結以の「あさきゆめみし」はノヴェライズなので除外すると、他には思い浮かびません。それだけ既存作家の層が厚いということなのかもしれません。
まとめ
ここで取り上げたのは、ほとんどがライトノベルの新人賞でデビューしライトノベルを主な活動場所としている作家ばかりです。児童文学のライトノベル化を模索している各出版社が、既存の児童文学作家だけではまかないきれず、即戦力としてライトノベル界から作家を招聘している構図が推察されます。しかし一方で、時海結以のようにライトノベルと児童文学の両分野に同程度の労力を傾けている作家や、渡辺仙州のように児童文学畑で育ち、ライトノベルに進出していった作家の存在も見逃せません。こうした作家が今後増えていくのか注目されます。
なんにせよ、児童文学ライトノベル間の人材交流が活発になって双方のレベルが上がっていくような方向に落ち着けばいうことはありません。