「ふたごの兄弟の物語」(トンケ・ドラフト)

ふたごの兄弟の物語〈上〉 (岩波少年文庫)

ふたごの兄弟の物語〈上〉 (岩波少年文庫)

ふたごの兄弟の物語〈下〉 (岩波少年文庫)

ふたごの兄弟の物語〈下〉 (岩波少年文庫)

 運試しに世の中に出ていったふたごの兄弟ラウレンゾーとジャコモ。ラウレンゾーは金細工師の弟子になり堅実な人生を歩みますが、ジャコモは泥棒に弟子入りして、盗みの才能を開花させてしまいます。幸いジャコモには良心があったので泥棒にはなりませんでしたが、定職に就かず気儘な人生を歩むことになります。この正反対の性格のふたごが繰り広げる冒険の数々が語られます。
 グリム童話千一夜物語などの昔話や古典作品を下敷きにエピソードを作っているので、ストーリーに既視感はありますが、しっかりと読み応えのある物語になっています。
 軽い謎解き要素のあるエピソードが多く、双子入れ替えも何度も繰り出されるので、ミステリとしても楽しめます。わたしはそういう目で見ていたので、最後にジャコモが見つける天職は探偵の方がよかったんじゃないかと思ってしまいました。