「幻霧城への道 マジカルストーンを探せ! Part 7」(関田涙)

幻霧城への道 マジカルストーンを探せ! Part7 (講談社青い鳥文庫)

幻霧城への道 マジカルストーンを探せ! Part7 (講談社青い鳥文庫)

「マジカルストーンを探せ!」最終巻。ここにきて、本格ミステリと児童文学の相性について考え直さなくてはならない事態になりました。それというのも、本格ミステリであったはずのシリーズが最終巻で本格ミステリであることを放棄する現象が、最近立て続けに起きたからです。はやみねかおるの「夢水清志郎事件ノート」は成長物語として、藤野恵美の「怪盗ファントム&ダークネス」シリーズはアンチ成長物語として幕を下ろしました。そして「マジカルストーンを探せ!」シリーズ最終巻は、ハイスピードの娯楽活劇および友情物語になりました。
前巻では二日でマジカルストーンを見つけなければなりませんでしたが、今回はたった六時間で中ボス五人を倒してさらにラスボスと戦わなければならなくなり、物語はさらにスピードを増します。本格ミステリであることは放棄したものの、結局は娯楽活劇としてきれいに完結しました。
本格ミステリ、娯楽活劇としてレベルが高かったことの他にこのシリーズについて特筆すべきは、友情物語としてのありかたです。女子向けのエンタメ作品の多くが人間関係の難しさをいかに処理するかという問題に取り組んでいる中で、このシリーズはあえてそこから目をそらし、物語の中だけでも理想的な友情の夢を見させようとしてきました。それは絵空事かもしれませんが、絵空事の力を信じているという意味で非常に志の高い姿勢であると思います。



ここまでは最終巻を読んだ時点での見解です。番外編三巻『トモダチゲーム』の発表によって、友情物語としてのこのシリーズのありかたについて再考しなければならなくなりました。それについてはまた次回。