その他今月読んだ児童書

ローズさん (フレーベル館 文学の森)

ローズさん (フレーベル館 文学の森)

デビュー作『赤いペン』の姉妹編。例の文学館の面々が、総合学習で町に伝わる「ローズさん」のと都市伝説を調査することになった中学生の手助けをします。調査を進めるうちに、かつて実在した女性「ローズさん」の人生が明らかになり、それが虚構化される過程も浮かび上がってきます。自由研究の楽しさを味わわせてくれるとともに、物語というものの罪深さというテーマにも踏みこんでいきます。
しかし、この青いカバーのさわやかなこと。おそらく、前作のカバーは怖いとさんざんいわれたので、路線変更したのでしょう。
赤いペン (文学の森)

赤いペン (文学の森)

兄ちゃんは戦国武将! (くもんの児童文学)

兄ちゃんは戦国武将! (くもんの児童文学)

国王の家族の側から『サクラクエスト』の物語を紡げば、このような話になるかもしれません。大学を中退して家出した兄が仙台市をPRするおもてなし隊の「伊達政宗」とやらになってしまったので、弟がそれを連れ戻そうとする話です。自分だけの兄がみんなの「伊達政宗」になってしまったことに屈託を覚える弟がほほえましいです。
サブキャラたちの日本昔話

サブキャラたちの日本昔話

「浦島太郎」「桃太郎」「金太郎」の昔話を、それぞれカメ・イヌ・クマの視点から語り直した本です。語り手は前書きで、昔話の疑問点をいろいろ指摘します。たとえば、浦島のカメは雄だったのか雌だったのかというようなどうでもよさそうなことから出発し、読者を困惑させます。しかしくねくねと屁理屈をこねるうちに、いつの間にか読者を説得してしまいます。この斉藤洋独特の屁理屈芸は、すでに名人芸の域に達しています。若者を不健全文学の沼に沈める罪深い叢書「文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション」の第2期がスタート。第1弾のテーマは「影」ということで、ドッペルからの死という鉄板コースの怪談が盛りだくさん。