『ガムじいさん、あんたサイアクだよ!』(アンディ・スタントン)

ガムじいさん、あんたサイアクだよ!

ガムじいさん、あんたサイアクだよ!

いかにも英国紳士らしいクソユーモアセンスを持った新人作家が登場。著者のアンディ・スタントンはオックスフォードを中退したのちコメディアンとなり、この作品で作家デビューしたそうです。
町の嫌われ者のサイアクじじいガムじいさんは、最近ジェイクという犬に庭を荒らされるようになっていらだっており、ジェイクを殺害しようと悪巧みを画策します。町の人気者のジェイクを守ろうと9歳の女の子ポリーが立ち上がり、全面戦争が始まります。
食べ物をおもちゃにするとか現実では絶対やってはいけないことを楽しめるのはフィクションの特権。イギリスらしい度を超した下品ギャグ、バイオレンスギャグがよく利いた作品になっています。作中人物がいま自分が登場している本を読んで先の展開を探るズルをしようとするなど、メタなギャグも当たり前のように展開されます。
自重しない語り手も、いかにもイギリス作品らしいです。ある新キャラが登場する場面で、読者の楽しみのためにこの人物の正体は伏せておこうと口先でいっておきながら、すべてその場でしゃべってしまうというフリーダムさ。語り手の構ってちゃんぶりには閉口させされますが、どうか最後までつきあってあげてください。