- 作者: 楠木誠一郎,亜沙美
- 出版社/メーカー: 静山社
- 発売日: 2018/09/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なんでタイムスリップしたのか、なんで筋肉増強剤でゾンビ化するのか、そんな細かいことは気にする必要はありません。お江戸にゾンビを発生させたらおもしろかろうと著者が思ってしまったから書いた、それだけでよいのです。
いい意味でB級な作品で、ゾンビもののお約束を忠実に守っていて読者の期待を裏切ることはありません。第1部のラストなんか、映画だったらエンドクレジット後にこういう場面が出てくるだろうなと予想されるとおりで、待ってましたと歓呼の声を上げたくなります。
ただし、物語の展開はB級なのですが、著者が楠木誠一郎なので時代考証は超一流です。人足寄場という出発点の舞台設定も秀逸ですし、舞台が江戸に拡大すると町木戸をバリケードとして利用したり、最終的な籠城ポイントをあそこにしたりと、ステージの設定がそれぞれ説得力が高く、江戸は最初から対ゾンビ防衛都市として設計されていたかのように錯覚してしまいます。
専門知識を持った人が大人げなく本気で遊んでいる様子を眺めさせてもらうのは楽しいですね。