『本気でやれば、なんでもできる! ?』(ジョン・ヨーマン)

本気でやれば、なんでもできる! ? (児童書)

本気でやれば、なんでもできる! ? (児童書)

1961年のイギリス児童文学の初邦訳が登場。クェンティン・ブレイクのイラストにマッチした、ユーモラスな作品になっていました。
図工の時間の工作がうまくいかず、先生から「いっしょうけんめいやれば、できないことなんてひとつもない」と励ましを受けたビリーですが、友だちからエベレストに登ったり飛行機で最高速度を出したりはできないだろうとからかわれます。それは可能であると反論すると、頭に角を生やすとこはできないだろうと言われ、ビリーは角を生やしてみせると宣言してしまいます。
努力の価値を称揚しようというお説教ではなく、特になんの苦労もなく角が生えてしまうというナンセンスを楽しむタイプの作品です。ビリーにとっては、角が生えるのはこの上なく誇らしいこと。角が生えかけて病院に連れていかれると、医者から動物病院に行くよう指示されました。親は困惑しますが、ビリーは嬉しくてたまりません。このギャップがおもしろいです。
オチもシンプルで洒落ていて秀逸。実にイギリス児童文学らしい作品でした。