- 作者:ミシェル クエヴァス
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2019/04/17
- メディア: 単行本
カバーイラストや導入部から容易に予想がつくとおり、実はジャックがフラーのイマジナリーフレンドであったという仕掛けになっています。イマジナリーフレンドが主役になるのはA.F.ハロルドの『ぼくが消えないうちに』と同趣向ですが、本人がそれに気づいていないというシチュエーションをコメディにしているところに『イマジナリーフレンドと』のおもしろさがあります。本人がそのことを自覚すると、それならば「みんな(やっぱり)ジャック・パピエをきらっている」という章タイトルは表現が不適切だと、事後に書きかえるというひねくれた遊びもなされています。
主人公の正体が露見したのち、ジャックは自由を求めて自分の境遇からの脱出を図ります。しかし、イマジナリーフレンドを支配するお役所的なシステムが立ちふさがり、なかなかうまくいきません。中盤も、コメディ色強く物語は進行します。となると、しっとりした感じのカバーイラストは表紙詐欺ではないかという疑惑が浮上してきますが、そこがどうなるかは読んでのお楽しみということで。