『なかなおりの魔法』(湯湯)

なかなおりの魔法 (トゥートゥルとふしぎな友だち)

なかなおりの魔法 (トゥートゥルとふしぎな友だち)

中国の志怪童話「トゥートゥルとふしぎな友だち」の第2弾。友だちとけんかしてカンカンになっていたトゥートゥルは、近所でみたことのないおじいさんに声をかけられます。石に友だちの顔を描いて、さらに長い鼻を描いたりといたずら描きをすると本当にそうなるのだとおじいさんは教え、トゥートゥルにそうするようにけしかけます。トゥートゥルは、ある子にはひげを描き、ある子の顔はそばかすだらけにし、ある子にはおでこに三角の目を付け、ある子には耳まで裂けた口を描いて、とりあえず鬱憤を晴らして立ち去りました。ところが翌日学校に行くと、石に顔を描かれた子は誰も登校していなくて……。
物語の着地点は明らかですが、やはりそこまでの過程は怖くて、ハラハラしながら読ませてくれます。
今回も平澤朋子のイラストが最高でした。1巻の『真夜中の妖精』では幻想的な美しさをみせてくれましたが、今回はホラーがメイン。カメラアングルの切り替えのうまさ、はっきりみせることのできない闇の絶妙な描きこみ、影絵芝居のような演出、さまざまな工夫がうまく噛みあっていて、スタイリッシュなアングラ感を醸し出しています。