『四つ子ぐらし 5 上 初恋の人の正体』『四つ子ぐらし 5 下 お母さんとペンダントのひみつ』(ひのひまり)

二鳥の初恋の人がアイドルデビューすることになり、姉妹みんなでフェスの会場に行ったところ、なぜか元自称母の四ツ橋麗と遭遇。思いがけず四ツ橋家の闇の核心に迫ることになります。
相変わらずこのシリーズは、貧困の描き方の解像度が異常に高いです。もうすぐ夏休みという時期ですが、姉妹の心配事は給食がなくなるということ。ただでさえ生活が大変なのに、昼食分の食費と手間がさらにのしかかってくるのは、彼女たちにとっては重すぎる負担です。学校が休みになるということは、少なくない人々にとって、ライフラインが断たれるということを意味するのです。
そして、大人のクソさの描き方も徹底しています。4巻は二鳥の養家の親が最低で、養子に対する差別心や、子どものいる前で軽はずみに他人の死を願う発言をしてしまうクズさなどにリアリティがありました。
今回は四ツ橋家という超大金持ちの大人の生態が明らかにされます。完全に子どもを所有物・道具扱いしている四ツ橋家の大人たち。その悪辣さは、じゃんけんで子どもの運命を決めてしまうような、ギャグとしてしか描けないような域にまで達しています。
次回への引きがエグく、あとがきでも気になる煽りがなされているので、娯楽作家としてのひのひまり先生への信頼度がどんどん上がってきます。
ただ、ひとつだけひのひまり先生に疑念があるんですけど。3連続で二鳥が曇る担当にされていて、ひとりだけ曇らされる回数が多いような気がするんですけど、気のせいですよね。