『めんどくさがりなきみのための文章教室』(はやみねかおる)

めんどくさがりなきみのための文章教室

めんどくさがりなきみのための文章教室

「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズのはやみねかおるによる、小説形式の文章の書き方指南書です。作文の課題のことで悩んでいた中学2年生の文岡健(文を書けん)は、神社でボロ雑巾のようなデブネコと出会います。名前は、「マ・ダナイ」だと名乗り、10万回くらい生きているのだという猫は、作文の指導者として健の家に無理矢理あがりこみます。
たった10ページほどのOPENINGにもたくさんのパロディを仕込んでいるのは、はやみねかおるならではのサービス精神。OPENINGのタイトルは「文章力は、まだない。」で、ENDINGのタイトルは「文章力は、ありがたやありがたや。」となっているので、もしや南無阿弥陀仏の溺死ENDになるのではないかという余計な心配までさせてくれます。
「めんどくさがり」であることは簡潔で整然とした文章を書ける才能であると、興味を引く逆説をまず提示し、実践的な文章力の鍛え方を惜しげもなく公開しています。特によいのが、文明の利器は利用するように指導しているところです。ワープロソフトの校正機能を使い、書き方のテンプレートはネットで探せと。
このくらいの小説形式の本を読むのが苦でないレベルの子であれば、すぐに力をつけられる内容であると思います。また、子どもに作文を教える立場の教員や保護者が読んでも参考になるでしょう。