フレンドシップ ウォー こわれたボタンと友情のゆくえ (文学の扉)
- 作者:アンドリュー・クレメンツ
- 発売日: 2020/07/09
- メディア: 単行本
学校内ではボタンが異様な価値を持つようになり、まるで貨幣のように活発な交換がおこなわれるようになります。子どもたちが閉鎖された独自の貨幣経済圏を作り上げる話なので、谷崎潤一郎の短編「小さな王国」が思い出されます。
- 作者:谷崎 潤一郎
- 発売日: 1998/09/18
- メディア: 文庫
エリーはクラスのボスで自己中心的なタイプ。グレースは自分の話を全然聞いてくれないエリーにだんだん不信感を持つようになります。そして、ボタンをめぐる騒動がふたりの関係を決定的に引き裂き、グレースはランチの時間にエリーの隣に座る権利を剥奪されてしまいます。グレースは自分の資産を活用しエリーに復讐しようとあれこれ策を練ります。一方で、エリーへの未練も捨てきれず懊悩します。経済戦争の戦略のおもしろさと元親友同士の関係性、このふたつの要素が物語を牽引していきます。
この作品でもわかるとおり、アンドリュー・クレメンツは子どもが社会と接続する様子を具体的に娯楽性たっぷりに描くのがうまい作家でした。2019年に亡くなり、この『フレンドシップ ウォー』が遺作となってしまったようです。