『世界とキレル』(佐藤まどか)

世界とキレル

世界とキレル

小学生時代は優等生だった舞は、難関の中学受験に成功します。しかし入学後は周囲の子との階級・能力の格差に絶望し、落ちぶれてスマートフォンに依存してしまうようになります。そんな舞を心配した母親は、従姉の美少女の鏡花ちゃんも巻きこんで舞をだまし、スマートフォンを取り上げるサマースクールにぶちこみます。
少人数の子どもを隔離し外部との通信手段を奪う、これは洗脳するには絶好の環境です。しかもこのサマースクールでは、ジャンクフードも取り上げて健康にいいとされる食品を摂取させます。さらに、メンバー同士で悩みを告白しあうイベントも強制。知識のある大人が読めば、なんとかセミナーの手口のようにみえてドン引きすること間違いなしです。
最終的に舞は、都会に戻って仲間と「うるさいねえ」「なんか臭いねえ」と言いあうまでにできあがってしまいます。怖い怖い怖い。児童文学としては珍しい方向性のホラー作品でした。
教訓:外部との連絡手段を奪おうとする人は信じちゃダメ。カルトには絶対近寄らないようにしよう。