「一方通行アンデッド」は、主人公がゾンビ。一部の人々が嫌う生産性のなさの極北のような設定です。ネタ自体に独創性はないものの、リリカル度は高く読ませます。
「ハロー夢装アロー」は、両思いなのにプライドが高いために相手に告らせようとキューピッドの矢を打ち合うカップルの話。ここにあるのは、恋は狩りであるという発想です。
極度の食事制限ダイエットのせいで食欲のリミッターが外れ、ついに人間を丸呑みにしてしまうようになった女子の物語が、「防飲防shock改革」。
さて、このあたりで全国に300人くらいいる暗黒児童文学ファンは、なにかを思い出したのではないでしょうか。『ぼくの嘘』をはじめとしてロマンチック・ラブ・イデオロギーの解体を試みる作品を書いてきた作家藤野恵美作品のキーワードと、共通するところが多いのです。この路線の作家が増えてくれるのはたのもしいです。そういう文脈で考えると、オープンにみえる最終話も実は世界を閉ざす悪意のこめられた話なのではないかと思えてきます。この作品集で恋愛小説作家としてのにかいどう青の魅力を知った方で、まだにかいどう青の恋愛ものの最高傑作を読んでいない方は、ぜひこの機会に『続 恐怖のむかし遊び』に収録されている短編「あの子がほしい」を読んでみてください。この作品は、令丈ヒロ子の「いちごジャムが好き。」と並ぶ百合児童文学短編の至宝です。いまの指原くんは、たまらなくおいしそうでした。じゅるり。
って、なにを考えてるの? ちょっと落ちつけ、わたし。
こんなのおかしい。指原くんを食事として見ているなんて。
でもでも、指原くんを食べるってことは彼をわたしのものにできるってことじゃない?