『ぐうたらとけちとぷー』(加瀬健太郎/作 横山寛多/絵)

ぐうたらとけちとぷー

ぐうたらとけちとぷー

めんどう くさのすけは、なまえのとおりのめんどくさがりやでぐうたらざんまい。起きるのがめんどくさいといって3日寝続けて、4日目に寝るのがめんどくさくなって起きてくるといった具合。そんなくさのすけがめんどくさがりやの世界大会を企画して各国に招待状を出しますが、ある事情でそれは頓挫します。
第2話の主人公はどけちのせこいや ジャクソン、第3話の主人公は屁こき名人のへ こいたろうで、それぞれの厄介な特性が紹介され、世界大会を企画するけどずっこけるというパターンが3回繰り返されます。文章はシンプルにばかばかしくて笑えます。イラストも余白が多くて目に優しいです。情報量の多い絵童話もいいですが、こういう読んでて疲れない作品もいいものです。
シンプルでパターンの確立している作品のよさは、二次創作を誘発するところにあります。一定の割合の子どもは、この本を読んだあと強烈な個性を持つキャラクターを考え、その特性に応じて世界大会がどのようにつまずくかを考え、お話をつくる楽しさを知っていくことでしょう。
第4話はパターンを外し、3人の主人公が集合して公園で遊ぶ話となります。しかし、それぞれの特性が邪魔をしてブランコや滑り台などの遊具を使うことができません。端から見るとなにがおもしろくて集まっているのかわかりにくいですが、3人の時間は充足しています。風変わりだけどゆるい幸福感に満ちているこの最終話も味わい深くてよいです。