『けんこうだいいち』(マンロー・リーフ)

けんこうだいいち

けんこうだいいち

マンロー・リーフの『けんこうだいいち』が、復刊ドットコムで復刊されていました。『おっとあぶない』や『みてるよみてる』のようなマンロー・リーフのこの系列の作品は、危険なことや悪いことをしている人を軽妙なユーモアで揶揄することで、子どもをよい方向に導こうとしています。この手の作品は教育臭が子どもに見抜かれてしまうと失敗しておしまいになってしまうことが多いですが、マンロー・リーフ作品はユーモアセンスとゆるいイラスト、そして渡辺茂男の名訳によって成功を収めています。何度も復刊されていることがその証明です。
改めて読んでみると、基本の基本だけど大事なことを厳選して紹介するスマートさに驚かされます。牛乳を飲もう、手を洗おう、睡眠をよくとろうと。
そして、健康のための行動ができない者を「まぬけ」としてこきおろします。このご時世、子どものお手本にならない大人が多いですから、新しいまぬけをつくりたくなりますね。感染症が流行しているのに多人数での会合をやめられない「かいしょくまぬけ」とか、危機に乗じて目立とうとして現場でがんばってる人の足を引っぱったり不正確な情報を流したりする「あまがっぱまぬけ」「うがいぐすりまぬけ」とか。
ただしこの本、現代の視点でみれば思いやりがないように思える面もあります。たとえば、アレルギーのある子は牛乳は飲めないので、それを「すききらいまぬけ」と呼ぶのは不当でしょう。そのほかにも、さまざまな事情により一般的に健康によいとされることができないケースは考えられます。いまこういう本を作るなら、それなりの配慮は必要になるだろうなとは思いました。