- 作者:濱野京子
- 発売日: 2021/02/26
- メディア: 単行本
物語の続きを読みたい気持ち、自分の好きな作品が他の人に受けなくて傷つく気持ち、わかるわかるという共感で作品を読み進めていくことができます。物語の続きが読めない場合どうすればよいか、仏像を彫るというのが古来伝わる方法ですが、これは実効性がありません。碧衣は現実的な方策を模索します。物語がおもしろくないというなら、わかりやすくなるように文字を大きくしたる、イラストもつけたる、作者が書きたくないというなら、自分が叱咤激励してやると、その試行錯誤の過程が楽しいです。
物語を好んで読むタイプの子は、クリエイターに憧れる傾向があります。この作品はクリエイターではなく、クリエイターの支援をしクリエイターと受け手をつなぐ役割にスポットを当てているのがおもしろいです。碧衣の悩みや望みが物語に有機的につながっていて、活動のなかで自分の適性や可能性をみつけさせる構成がうまいです。こういった作品に励まされる子はたくさんいるでしょう。