『めいたんていサムくんとなぞの地図』(那須正幹)

これが遺作ということになるのでしょうか。まともな感想は書けないので、とりとめのない作品の思い出の羅列になることをご容赦ください。
物語は、町内の古い家が火事で燃えてしまうところから始まります。那須先生、火事とかお好きでしたよね。『ズッコケTV本番中』や『お江戸の百太郎 赤猫がおどる』の火と破壊のイメージ、無茶苦茶怖かったです。そして、子どもたちは焼け跡から謎めいた地図を見つけます。地図は、冒険の旅の入り口。で、どうやらおじぞうさんが謎を解く鍵になりそうだということがわかってきます。ここで思い出されるのは、デビュー作ですね。謎は、町の歴史につながってきます。那須先生が繰り返し語り伝えてきた、戦争は許さないということ、これだけは絶対に忘れません。と、真面目なことはいっても、やっぱり宝物はほしいじゃんと、そういう子どもの素直な欲望を肯定してきたことも、『首なし地ぞうの宝』以来ずっと貫いてきた那須先生の姿勢でした。那須先生、楽しいお話、怖いお話、考えさせられるお話、たくさんのお話をくださって、本当にありがとうございました。