『きょうのフニフとあしたのフニフ』(はせがわさとみ)

ぞうのフニフとわにのワムくんの物語の第2弾。
第1話のフニフは、昨日はサナギだったのに一夜で変身したちょうや昨日ははだかだったのに今日には芽を出したいちょうの木と自分を比べ、自分にはなにか変化があったのかと思い悩みます。そこでワムくんが説く、「なあんだ、そんなこと」と思えるようなことの尊さに救われます。
第2話はフニフの家の時計が壊れて午後三時で止まってしまう話。ふたりは調子に乗って、何度も三時のおやつを繰り返します。しかし、ぞうとワニの胃袋にも、おのずと限界は訪れます。フニフもワムくんももうやめたいと思いますが、相手はまだ食べたいと思っているのではないかと気遣って暴食の祭を続けます。これはありがちな地獄ですが、偶然の助けで大惨事に至らずよかったです。
第3話では、きれいな月をワムくんにも見えてあげたいと思ったフニフが、月に自分の後をついてくるよう促してワムくんの家に向かいます。上方に月、真ん中に橋を渡るフニフ、下に川に映る月を配置したシンプルな構図のイラストが美しいです。
全体としてフニフとワムくんのなかよしっぷりにほのぼのさせてもらえます。ちょっと考えすぎるきらいのあるフニフを優しく受けとめてくれるワムくんの包容力がすばらしいです。