『まいど! ようかい不動産 203号室は、トイレの花子さんの部屋?』(緑川聖司)
妖怪相手の不動産業を営んでいた祖父が亡くなって、運の悪い小学四年生の幸樹がその仕事を引き継ぎました。職務は家賃の催促や妖怪が抱えるトラブルの解決など。さっそく家賃を三ヶ月も滞納している花子さんの部屋を訪問することに。花子さん・山姥・そして2026年を代表する妖怪である人魚と、この本には三体の妖怪との対戦のエピソードが収録されています。
各妖怪の性質をうまく取り入れたギャグが楽しいです。花子さんは三回ノックして名前を呼ばれたら出て行かなければならない習性があるので居留守が使えないのが哀れで笑えます。この作品の一番のおもしろポイントは部屋の間取り図でしょう。花子さんの部屋には単身世帯にはひとつあれば十分なはずのものがふたつあって驚かされます。
妖怪には肖像権使用料などを財源にした補助金が入るなどという細かい設定もつくりこまれています。それでも花子さんはお金に苦労しています。ここで、高齢者(花子さんは見た目小学生だけど七〇代後半)の貧困と生きがいという、極めて現代的な問題が浮かび上がってきます。他のエピソードもゆるく現代的な社会問題とつながっているところも、この作品の特色です。
まだまだ厄介なおもしろ妖怪はたくさんいそうなので、長いシリーズに育ってもらいたいです。






