2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『病院図書館の青と空』(令丈ヒロ子)

病院図書館の青と空作者:令丈 ヒロ子講談社Amazon本が大好きな小学五年生の空花は、転校のせいで暗い人生を過ごしていました。本の好きな友だちからは引き離され、学校図書館は大外れのやつで、公共図書館も書店も家の近くにはないという最悪の環境。まるで…

『うまのこと』(少年アヤ)

うまのこと(飛ぶ教室の本)作者:少年アヤ光村図書出版Amazon小学三年生のうまの物語。うまは、自分がうまであることを明かすと迫害されることがわかっているので、それを隠して学校生活を送っています。クラスで弾圧されているのはくるむっちという子で、「…

『給食アンサンブル2』(如月かずさ)

給食アンサンブル2(飛ぶ教室の本)飛ぶ教室の本Amazon給食をテーマにした連作短編の第2弾。今回は、吹奏楽部周辺のエピソードが語られていきます。 第4話は、やる気のない吹奏楽部でひとりガチ勢をやっていて孤立している部長の話で、とても胃が痛くなりま…

『ぼくが弟だったとき』(森忠明)

ぼくが弟だったとき (秋書房の創作童話)作者:森 忠明秋書房Amazonタイトルはもちろんそういう意味なので、そういう心づもりで読みましょう。 森一明少年が、おねえちゃんと過ごした日々の思い出を語ります。近所のおじさんの評だと、「森さんとこの順子ちゃ…

『わたしたちの歌をうたって』(堀直子)

わたしたちの歌をうたって (文研ブックランド)作者:堀 直子文研出版Amazon二学期の最初の日、四年二組に季節外れの転校生がやってきました。転校生野々村詩音は、無言で黒板に短歌を書きます。語り手の星野なずなの詩音に対する第一印象は「ヘンな子」という…

『ティゲルファル』(斉藤洋)

ティゲルファル作者:斉藤洋あかね書房Amazonはるか太古、病気のため仲間から置き去りにされた少年が、ひとりの老人に助けられます。老人は十を超える数や交換という概念など、思いもよらなかった知恵を少年に授けていきます。 という発端は、斉藤洋お得意の…

『 ヘビくんブランコくん』(おおぎやなぎちか/作 井上コトリ/絵)

ヘビくんブランコくん作者:おおぎやなぎ ちかアリス館Amazon冬眠から目覚めたヘビくんは、うっかりブランコくんのくさりに絡まってしまいます。嫌われ者のヘビくんがいるので、みんな人気者のブランコくんからも離れてしまいます。それでもブランコくんはヘ…

『闇の覚醒 死のエデュケーション Lesson 2』(ナオミ・ノヴィク)

闇の覚醒 (死のエデュケーション Lesson 2)作者:ナオミ・ノヴィク静山社Amazon生存率25%の超危険な魔法学校を舞台にした学園ラブコメバトルファンタジー、スコロマンスシリーズの第2巻。主人公のエルは最終学年の4年生に進級。半数の生徒が命を落とす卒業…

『闇の魔法学校 死のエデュケーション』(ナオミ・ノヴィク)

闇の魔法学校 (死のエデュケーション)作者:ナオミ ノヴィク静山社Amazon生徒の卒業までの生存率が25%という治安最悪の魔法学校を舞台にしたサバイバルファンタジーです。 まず注目すべきなのは、トンキチ極悪設定です。若い魔法使いは怪物にとって美味な餌な…

『ベランダのあの子』(四月猫あらし)

ベランダのあの子作者:四月猫あらし小峰書店Amazon第20回長編児童文学新人賞入選作。児童虐待をテーマにした作品です。物語の冒頭は小学5年生最後の日。春休みが好きだと無邪気に語る友人に対して、主人公の颯は内心で学校に行けない、家にいるしかないとい…

『葬式KIDS 現代を生きるティーンの文学』(篠崎五六/編)

葬式Kids: 現代を生きるティーンの文学太郎次郎社エディタスAmazon1994年刊行の書き下ろし児童文学アンソロジー*1。参加作家は牧野節子・村中李衣・川島誠、加藤多一・森忠明。90年代前半の児童文学・YAの前衛の空気感を概観できる作品集です。各作品を簡単…

『満天inサマラファーム』(長谷川まりる)

満天inサマラファーム作者:長谷川 まりる講談社Amazon高校2年生の満天は、王国に住んでいます。王様は父親のタクさんで、満天は王様に目をかけられたいちばんの家来。タクさんはサマラファームというオーガニックファームの経営者で、自給自足の生活に憧れた…

『黒ゐ生徒会執行部』(にかいどう青)

黒ゐ生徒会執行部 (5分間ノンストップショートストーリー)作者:にかいどう青PHP研究所Amazon怪奇現象に遭遇した少年少女を救済する機関であるという「黒ゐ生徒会執行部」に迷いこんだ「きみ」が、生徒会長と副会長兼書記兼会計兼広報兼庶務のふたりから「黒…