2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『ドリーム77』(金重剛二)

1969年理論社刊。導入部のイラストがよいです。大きな木の根元にトンネル状の穴が空いていてそこを機関車が通ってるという、別世界の入り口としてとても魅力的なものになっています。光一くんはおかあさんと博物館から抜け出してきたようなこの古い機関車に…

『帰れ 野生のロボット』(ピーター・ブラウン/作・絵)

帰れ 野生のロボット (世界傑作童話シリーズ)作者:ピーター・ブラウン福音館書店Amazonかつて無人島に漂着してサバイバルし、野生を獲得してガンのキラリという息子も得て母親になったロボットのロズの物語『野生のロボット』の続編。破壊された身体の修理の…

『さいごのゆうれい』(斉藤倫)

さいごのゆうれい (福音館創作童話シリーズ)作者:斉藤倫福音館書店Amazon小5の夏休み、おばあちゃんの家に預けられたハジメは、滑走路を外れ空き地に着陸した飛行機から降りてきた女子ネムと出会います。自分は「さいごのゆうれい」であるというネムを「ほご…

『莉緒と古い鏡の魔法』(香坂理)

莉緒と古い鏡の魔法作者:香坂 理朝日学生新聞社Amazon第11回朝日学生新聞社児童文学賞受賞作。影が薄い系女子の莉緒は、突然のなりゆきでアンティークショップの洋館で暮らすことになります。そこにあった小箱から人の願いを叶える力を持つが危険なチャーム…

『はなの街オペラ』(森川成美)

はなの街オペラ (くもんの児童文学)作者:森川成美くもん出版Amazon大正時代、栃木から東京の音楽家の屋敷に奉公に出たはなは、そこで書生をしていた美青年響之介に導かれるように芝居の世界に入っていきます。 エンタメとしての出来は満点です。なにも持たな…

『シルリアのひとみ』(奥山和子)

1975年理論社刊のSF児童文学。様々な宇宙人が地球で生活している23世紀の未来を舞台にした宇宙冒険活劇です。太陽系パトロール長官の父を持つユリカは、宇宙銀行の貴重品預かり証である銀の腕輪をつけられていました。山育ちのユリカがトウキョウの銀河小学…

『こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ』(岡田淳)

こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ (こそあどの森の物語)作者:岡田 淳理論社Amazon2017年に完結した「こそあどの森」の番外編が出ました。森の住人たちと再会をはたせたことに、感謝しかありません。では、この感謝はなにに捧げればよいのか、それ…

『夜明けをつれてくる犬』(吉田桃子)

夜明けをつれてくる犬作者:吉田 桃子講談社Amazon美咲は言葉を口にだすことが苦手な子。唯一の友だちであった犬のレオンを亡くしてから、うまくいかないことの多い彼女の日々はさらに暗いものになりました。しかし、生花店でレオンにそっくりの犬と出会った…

『ママたちとパパたちと』(グンネル・リンデ)

ママたちとパパたちと作者:グンネル・リンデ冨山房Amazon1976年のスウェーデンの児童文学短編集。家族と性の多様性をテーマにした作品が並んでおり、その問題提起は現代でも通用するものになっています。が、子どもが軽はずみに魔法を使ってしまう作品世界で…