2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧
セカイを科学せよ! (文学の扉)作者:安田 夏菜講談社Amazon主人公は日本人の父とロシア人の母を持つ藤堂ミハイル。見た目から「ガイジン」扱いされるので、目立たないように注意して世渡りをしていました。ところが中学2年生のときに強烈な転校生がやってきて…
こずえと申す (ポプラ物語館 86)作者:吉田 道子ポプラ社Amazon草多の父と母は別居中。仕事大事人間の父と「ショージ(小事)」を重視する母の価値観が合わず、草多は弟の洋と母と一緒に、なぜか父のほうのじっちゃんの家で暮らすようになります。そんな草多…
とりあえず とりの はなし作者:おくはらゆめあかね書房Amazon 「おかあさんより、わたしの ほうが、ほんとうのことを しっている」 こんなんタイトルの時点で勝ってるじゃないか。「スズメのはなし」「メンフクロウのはなし」「ヤマシギのはなし」、鳥をテー…
ミョンヘ (YA! STAND UP)作者:キム ソヨン影書房Amazon1910年代を舞台とした韓国の児童文学。この作品の空気は、第1章の冒頭ですぐにわかります。主人公は良家の娘ミョンヘ。冬の日に輿に乗っていとこの結婚式に赴く場面から、物語は始まります。ゆれる輿が…
ポーチとノート作者:こまつ あやこ講談社Amazonもしいま児童文学作家の対談を企画するなら、こまつあやこと村上雅郁にぜひお願いしたいです。デビュー以来3作続けて×××の相手に××をデフォルト装備させたこまつあやこと、デビュー以来3作続けて××××××を登場さ…
鬼ばばの島作者:今井 恭子小学館Amazon大海原のどまん中、まめつぶほどの小島にひとりで暮らす鬼ばばの物語。その島は鬼ばばがあぐらをかくとつぶれそうなほどの小さな島で、鬼ばばはそこでの生活を守るのに精一杯。そのためお父は食い殺していて、お父を殺…
内田麟太郎詩集 (現代こども詩文庫 2)作者:内田 麟太郎四季の森社Amazon少年詩を中心に内田麟太郎の代表詩をまとめた詩集。自筆年譜やエッセイ、矢崎節夫や菊永謙による評論も入っており、詩人でありナンセンス童話の第一人者でもある内田麟太郎の輪郭を手軽…
おてんばヨリーとひげおじさん作者:アニー・M.G.シュミット,フィープ・ヴェステンドルプ岩波書店Amazonオランダを代表する児童文学作家の1990年の作品の邦訳が登場。今日は新しい特急列車を出発させる日。運輸大臣・環境大臣や、名前が難しくて誰も覚えられ…
オリオンの上 (文研じゅべにーるYA)作者:有島希音文研出版Amazon 人って、どうして生まれてくるのだろう……。 誰かを傷つけるために、生まれてくるのだろうか。 児童文学はどこまで絶望を描けるのか、人が生きることの意味(無意味)を明瞭に暴き立ててしまっ…
境界のポラリス作者:中島 空講談社Amazon第61回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。主人公は中国にルーツを持つ高校生。父のDVが原因で離婚し5歳の時に母と日本に渡ったので、日本語は普通に話せて「田中恵子」という日本人の名前で生活しています。埼玉県の川…
アイドルが好き! (くもんの児童文学)作者:イノウエ ミホコくもん出版Amazonアイドルのコンサート直前のオタクの胸の昂りを、1文で改行するテンポのよい文体で臨場感たっぷりに描いた冒頭のシーンから作品世界に引きこまれます。しかもこれが開幕夢オチ。"ノ…
タフィー (STAMP BOOKS)作者:サラ・クロッサン岩波書店Amazon自分の誕生とともに母親を喪った少女アリソンの物語。その後父親には多くの恋人ができますが、みんなDVのために別れてしまいます。直近の婚約者だったケリーアンも逃げ出した後、アリソンも虐待に…
りりかさんのぬいぐるみ診療所 空色のルリエル (わくわくライブラリー)作者:かんの ゆうこ,北見 葉胡講談社Amazonりりかさんは、ぬいぐるみを修復するお医者さん。高原の森のなかに診療所をかまえています。確かな技術と花の魔法を使ってぬいぐるみを治療す…
のろいまんじゅう (お江戸豆吉)作者:桐生環フレーベル館Amazon第2回フレーベル館ものがたり新人賞優秀賞受賞作「お江戸豆吉」シリーズの第2弾。菓子屋の旦那様から勘当のように追い出された若旦那とふたりで新しい菓子屋を切り盛りする菓子職人見習いの少年…
文豪中学生日記作者:小手鞠 るいあすなろ書房Amazon文芸部に所属する中2女子春希は、土佐日記のマネをして男子のふりをして日記を書くことにします。綴られるのは、日々の雑感や詩など。身に覚えのある読者は、自分の黒歴史ノートをさらしものにされているよ…
体育がある (文研ブックランド)作者:村中李衣文研出版Amazonもちろんこの作品は、このタイトルを絶望と同義と受けとめる読者のために書かれています。4年生の亀山あこは、勉強はかなりできるけど体育だけが苦手。しかし容赦なくとび箱・鉄棒・遠泳と次々と地…
ジャノメ作者:戸森 しるこ静山社Amazon戸森しるこの作家のとしての業は、関係性の毒を描かずにはいられないことです。 この作品の語り手は、動物園の雌のクジャク。「ひきこもりのピーコ」と呼ばれていますが、「ジャノメ」というもうひとつの名前も持ってい…