児童書・国内
イカにんじゅつ道場 ただいま弟子ぼしゅうちゅう (福音館創作童話シリーズ)作者:香桃 もこ福音館書店Amazonイカスミを利用したり、砂や海藻に同化して隠れたりするにんじゅつを極めたイカが、にんじゅつ道場を開きます。はじめに弟子入り志願してきたのは、…
すこしずつの親友作者:森埜 こみち講談社Amazon親友ができないことを悩んでいる「わたし」は、伯母さんに相談します。すると伯母さんは、旅行先でのささやかな出会いの体験を次々と語り、「すこしずつの親友にならすぐにでも出会える」と説きます。 親子や教…
グレイッシュ (文研じゅべにーるYA)作者:大島恵真文研出版Amazon第58回講談社児童文学新人賞佳作を受賞した大島恵真の、受賞後第一作。受賞作の『107小節目から』と同様の、重苦しい毒親小説です。 中学2年のみゆるは、両親が美大出で父がカメラマン母がデザ…
タブレット・チルドレン作者:村上しいこさ・え・ら書房Amazonコンピューターでマッチングされたペアでタブレット上のAIの子どもを育てるという校外学習プログラムに参加させられた中学2年生の物語。クラスカースト下位で漫画家志望の女子心夏は、勝手に自分…
生まれかわりのポオ作者:森絵都金の星社Amazon背中に黒ぶち模様のハートマークを持つ猫ポオは、ルイにとって生まれたときからの親友でした。9歳の時にポオを喪ったルイがポオに再会したいと落ちこんでいると、小説家のママが『生まれかわりのポオ』というル…
スクラッチ作者:歌代朔あかね書房Amazonバレー部キャプテンの鈴音と美術部部長の千暁、ふたりの中学3年生が交互に語り手を交代し、コロナ禍の夏の出来事を語っていきます。鈴音は猛獣系の女子で、なぜか道ばたに落ちていることが多いという変なキャラづけが…
ばーちゃる作者:次良丸 忍金の星社Amazon光希の母親は、死者の映像を立体的に映す未来型の遺影の開発に携わっていました。それに死者のデータを入力することで、動きや会話の再現も可能にすることを目指していました。光希はその手伝いで、亡くなった祖母の…
ごいっしょさん作者:聰美, 松本国土社Amazon妖怪に詳しいことが自慢の関洋太は、ふだんあまり接点のなかった宮本修也から突然話しかけられてとまどいます。宮本修也の用件は以前おばあちゃんから聞いたという妖怪「ごいっしょさん」について知りたいというも…
ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計作者:いとうみく童心社Amazon異様に人間の器のでかい小学5年生細川糸子を中心としたクラスの人間模様を連作短編の形式で描いた『糸子の体重計』で、いとうみくは2012年にデビューしました。それから10年経ち児童…
恋愛問題は止まらない作者:吉野 万理子小学館Amazon野球部のアイドルが色恋沙汰でやらかしたことをきっかけに監督が部員に丸刈りを強制するという噂が学校内を駆け巡ります。リレー形式で語り手が交代し、騒動が広まるさまが描かれます。 並の児童文学作家で…
りりかさんのぬいぐるみ診療所 わたしのねこちゃん (わくわくライブラリー)作者:かんの ゆうこ,北見 葉胡講談社Amazon高原の森のなかに診療所をかまえてぬいぐるみを修復するお医者さんりりかさんの物語の第2巻です。カバーイラストの、人のいない夜の空間の…
ふたごチャレンジ!2 マスクの中に、かくしたキモチ? (角川つばさ文庫)作者:七都 にいKADOKAWAAmazon現代版とりかへばや物語の最前線、「ふたごチャレンジ」シリーズの第2弾。ふたごのあかねとかえでは転校先の学校で入れ替わって過ごすことにして、その嘘を…
小梅の七つのお祝いに作者:愛川 美也講談社Amazon第61回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。 小学一年生の小梅は、忙しい家族にほったらかしにされがちで、七五三も後回しにされていました。11月の日曜日に小梅は、黒牛に導かれて神社から不思議な世界に迷いこ…
スペシャルQトなぼくら作者:如月 かずさ講談社Amazon『カエルの歌姫』(2011・講談社)や『シンデレラウミウシの彼女』(2013年・講談社)など、「L」「G」「B」「T」と簡単にラベリングできないセクマイを描いてきた如月かずさは、10年代のこの分野の児童文…
末弱記者作者:森 忠明株式会社TuuleeAmazon森忠明の小説の単著は、1997年の『グリーン・アイズ』以来もう四半世紀ぶりということになるのでしょうか。森忠明は、自身の少年時代をモデルにした自伝的・あるいは私小説的な作品ばかりを書き続けてきた特異な作…
えっ、ウソみたい? (その一言から生まれる物語)偕成社Amazon「ウソみたい」なことがテーマのアンソロジー。そのなかから特におもしろかった作品をいくつか紹介します。 村上しいこ「人間やめますか」 子どもが突然ワニに変身してしまうという導入はカフカ。…
もうサイアクだ! (その一言から生まれる物語)偕成社Amazon「サイアク」という一言がテーマのアンソロジー。そのなかから特におもしろかった作品をいくつか紹介します。 令丈ヒロ子「小さな呪いなら」 呪いのアプリをめぐるホラー。アプリの性質を理詰めに検…
レッツもよみます作者:ひこ・田中,ヨシタケ シンスケ講談社Amazonひこ・田中とヨシタケシンスケによるレッツ・シリーズの第5弾。今回のテーマは「よむ」ことです。 5歳のレッツは、とうさんが絵本を読むのを「うるさく」思うようになりました。さらに母さん…
SNS100物語 黒い約束 (講談社青い鳥文庫)作者:にかいどう 青,モゲラッタ講談社Amazon闇と百合とミステリのマエストロにかいどう青の青い鳥文庫での新作は、SNSのグループで百物語をする子どもたちの物語。語り手の中学2年生エルモがその美貌を崇拝している女…
もう、子どもじゃない? はじめてのなやみ、はじめての恋 (角川つばさ文庫)作者:福田 裕子KADOKAWAAmazon小学5年生女子たちの初恋模様を描いた物語形式の性教育本。ダイエットや生理の悩みといった普遍的なことから、性交の同意についてといった踏みこんだ内…
あの子のことは、なにも知らない (teens’best selections 61)作者:栗沢 まりポプラ社Amazon貧困家庭の子どもを写し取った『15歳、ぬけがら』で鮮烈なデビューを果たした栗沢まりの5年ぶりの新作であるというだけで話題性十分の作品です。 卒業生の成長を記録…
レッツ キャンプ (こころのつばさシリーズ)作者:いとうみく佼成出版社Amazon小学4年生の晴斗は大介くんとふたりきりでキャンプに来ていました。大介くんはお母さんが働いている美容院の同僚で、晴斗の新しいお父さんになったばかりの人。大介くんは晴斗との…
〈多様性をみつめるショートストーリー〉と銘打たれたアンソロジーの第2巻と第3巻。いくつかの作品について、簡単に感想を記します。君色パレット 多様性をみつめるショートストーリー (2) いつも側にいるあの人 (君色パレット多様性をみつめるショートスト…
めいたんていサムくんと なぞの地図 (だいすき絵童話)作者:那須 正幹童心社Amazonこれが遺作ということになるのでしょうか。まともな感想は書けないので、とりとめのない作品の思い出の羅列になることをご容赦ください。 物語は、町内の古い家が火事で燃えて…
ふたごチャレンジ! 「フツウ」なんかブッとばせ!! (角川つばさ文庫)作者:七都 にいKADOKAWAAmazon (それは世間が、ゆるさない) (世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?) (そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ) (世間じゃない。あな…
クーちゃんとぎんがみちゃん ふたりの春夏秋冬作者:北川 佳奈岩崎書店Amazon これは、板チョコレートのクーちゃんと、なかよしのぎんがみちゃんの、とろけるようなたのしい毎日のお話です。 という、本の冒頭に掲げられた紹介文の「とろけるような」という表…
「あやしの保健室」は染谷果子によるホラーコメディ児童文学。2016年にスタートし、2020年に全4巻で惜しまれつつ完結しました。しかし、2022年に「あやしの保健室Ⅱ」として新シリーズがスタート。それを祝して、シリーズの魅力を振り返りたいと思います。 シ…
あやしの保健室II 1 九年に一度の誕生年作者:染谷果子小峰書店Amazonあやしの保健室・イズ・バック!*1 小学生の「やわらかな心」を奪うためにあやしいアイテムを駆使して悪巧みを繰り返す養護教諭24歳の奇野妖乃先生の物語「あやしの保健室」の新シリーズが…
「女の子たちのぼうけん」をテーマにしたアンソロジー。特におもしろかった作品をいくつか紹介します。女の子たちのぼうけん (1) いつも勇気があってオシャレな女の子 (女の子たちのぼうけん 1)作者:いとう みく,山本 悦子,吉野 万理子,石川 宏千花,令丈 ヒ…
ブレーメン通りのふたご (フレーベル館文学の森)作者:蓼内明子フレーベル館Amazon『さるも木からおちる』というちょっと変な名前の甘味処、そこにいるのは店主の園子さんと、その孫のふたごマキとカツラ。さらに、客としてもう一組の自称ふたご、まりあちゃ…