東京に住む小学生が山形の祖父母の家に行って田植えの手伝いなどをする話。春・夏・秋、みっつの季節のエピソードが語られます。特別不思議なできごとも大きな事件も起きません。だけど、そこが、いい。
泥の手触り、鳥の鳴き声、春のにおい、少年の素朴な感覚により、読者も山を体験できます。
子どもにとっては、車での長距離の移動も非日常のできごとです。それが夜間ならなおさらです。宇宙や未来を感じさせる夜の高速道路の旅も、宇宙ステーションのようなパーキングで食べたラーメンも、特別な思い出として記憶に刻まれます。
平易な言葉にたっぷりの情感をのせられるところ、ここに児童文学の芸術性の妙味があるのだということを再確認させてくれる作品です。
