『もしも算数嫌いの小学生が算数の国でゾンビと出合ったら?』(緑川聖司)

小学六年生の亜理沙は、算数が大嫌い。花子さんがみかんとリンゴを買いにいく問題に、みかんとリンゴが安すぎるとかスマホ決済でよくないかとかぶつくさ文句を言っていました。そこに算数ウサギのラビと名乗るぬいぐるみが現れ、算数の国に連行されます。そこはゾンビがはびこっていて、算数の問題を解かないと逃げることもなにもできないという無理難題を押しつけられます。
昨年から始まった「転校先の小学校が思っていたのとちがった」シリーズでも緑川聖司は頻繁に算数の問題をいじるギャグを繰り出していますが、今回は全編算数。ゾンビには4%の食塩水が有効だという設定をつくって算数の問題を解かせる強引さが笑えます*1。本はゲームブック形式になっていて、序盤のチュートリアルが終わってから算数の答えを外してしまうと容赦なく死亡ENDになるのもおかしいです。ゲームブック形式でもあまりあちこちにとばさず、基本的にページ通りに読めば物語が進むようにしている設計は親切です。
場合によっては必ずしも算数的に正解していなくてもよしとされています。問題文の穴をついて暴力で解決できるときは暴力に頼ってもよし、食い意地は算数としての解答より優先させてよしと、適度なゆるさも確保されているのがいいですね。

*1:井上真偽が『引きこもり姉ちゃんのアルゴリズム推理』で同時に出発して同じスピードで移動するという算数の問題状況を作り出したのは、本当にすごかった。