「エアボーン」(ケネス・オッペル)

エアボーン

エアボーン

 飛行船乗りの少年マットと、祖父の遺志を継ぎ未確認生物を探す少女ケイトの冒険物語。
 あとがきに映画化が決定されていると書いてありますが、おそらく最初から映画化前提でつくられている作品なのでしょう。登場人物は類型的で感情移入しやすく、読者を飽きさせないタイミングで主人公がピンチに陥りアクションシーンが入る。よくも悪くもハリウッド的です。
 しかし、伏線の無駄のなさ、メカ描写の綿密さなどから、この作者が実に周到に計算して物語を構成していることがうかがえます。ケネス・オッペル作品はまだ日本ではこの本と「銀翼のコウモリ」シリーズしか紹介されていませんが、それだけを見れば彼は娯楽小説の書き手としては相当な力量を持っているように思います。