この学園が平安時代の街がそのままタイムスリップしてきたものだという大ネタが、2巻の冒頭で明かされます。それも学園は閉鎖空間になっているとのことで、まるでスティーヴン・キングの『アンダー・ザ・ドーム』だと彩羽は指摘します。こうやってそこここで本に誘導しようとするところに、石崎洋司の生真面目な面が出ています。そして、女子の友愛をテーマにしているところも石崎洋司らしいです。
「おとなしく家にいたほうがいいかも。よし、今日は、彩羽の家で二人で、`物忌み`しよ!」
「うん! そうしよう!」
物忌みってお泊まり会だったのか。こういうノリなので、庚申待ちも女子集団のお泊まり会になります。章タイトルが「恐怖のお泊まり会」……。
絶対に彩羽を守るという紫の信念はどんどん強化されています。一方で、清原清菜(清少納言)の才能に嫉妬しつつもリスペクトしている感情もよいです。平安ワールドでは、女子同士の最も親密な関係は「ひそかに一平ちゃんを食べる間柄」らしいです。百合のイメージとはほど遠そうなのに、ローズガーデンでの一平ちゃんがものすごい湿度を持ってくるのが不思議です。ここまで謎に推されてるんだから、明星食品はJC紫式部コラボパッケージの一平ちゃんを出してくれ。