研心以外の小学生メンバーは、乱暴者の少年とうるさいラッパー少年。いろんな人を包摂することは図書館の大切な役割ですが、それゆえ仲間が厄介者ばかりで研心は苦労させられます。
政治は欲望のぶつかりあいなので、他人事であれば笑えることも多いです。常連メンバーのある女性は実は知名度のある人物で、反対運動の中心になることを期待されていましたが、利権を与えられてあっさりと寝返ります。この人物が軽薄な政治屋としてトリックスター的なふるまいをするところは笑えます。たとえばこんな演説をします。
「お腹を空かせた子どもたちを(政治の力で)すくう方法はあります。たとえば子どもさんたちが無料で食事ができる、子ども食堂などの福祉に力を入れればいいわけです。」
もちろんこれは、公助と共助をすり替える詭弁です*1。この人物がよくも悪くも状況を引っかき回して、このような軽薄な俗物の有り様が戯画的に描かれているのは興味深いです。
後出しで出される情報が多く、ご都合主義は目立ちます、読者に社会運動の勉強をさせることに汲々として、物語として不格好になっている面は否めません。が、政治コメディとしてはそこそこ楽しめます。
*1:こういった詭弁はおとなでも騙されるので、児童向けならこの論理の邪悪さを作中でわかりやすく説明すべきだったとは思う。