- 作者: 今田絵里香,くまおり純
- 出版社/メーカー: 文研出版
- 発売日: 2016/03/01
- メディア: 単行本
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時間SFとして端正にまとまった作品になっています。おもしろいのは、文学を愛するあまりかなり浮世離れしてしまったかおりの人格です。彼女は好きな作家が早死にしてしまったことよりも、作品が減ったため選集が薄くなったことに痛痒を感じています。そして彼女は、それが「ファンの自分勝手な気持ち」でしかないことも重々自覚しているのです。
この作品の文体は、接続詞を多用して理路整然と構成されていて、誤読の余地を可能な限り排除するものとなっています。この几帳面さが好ましいです。ややひねくれた見方ですが、几帳面さの裏側には、読者の理解力になんの期待もしていない語り手女子の人間性の暗い部分が隠されているようにも思えます。そういった危うさを含めて、魅力的な文体になっています。
- 作者: 今田絵里香
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2007/02/17
- メディア: 単行本
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学術的な裏付けのもとに、現代の児童文学作家として今田絵里香はどのような子ども観を提示していくことになるのか、今後が期待されます。