「衣世梨の魔法帳③ 運動場のミステリーポイント」(那須正幹)

「元気いいなあ、あついのに、よくかけまわれるもんだわ。」
「わかいのよ。あの子たち、まだ七さいくらいでしょ。」
「そうか、まだ七つかあ。いいなあ。あたしたち、、もう九さいか十さいだもんねえ。」

 こんなだれた会話を交わす小学生のぬるい日常描写から始まります。運動場のある一点で多くの人が転んでいるというちょっとした謎を子供達に発見させ、そこから一挙に世界を反転させる(目次に地球空洞説と書いてあるのでネタバレも何もあったもんじゃないんですが)。那須正幹ストーリーテラーのしての職人技が堪能できます。ズッコケ終了後那須正幹がどうなるか心配されていましたが、この「衣世梨の魔法帳」は本当にいいシリーズになってきました。末期のズッコケよりは格段に面白いです。
 さて、次回のタイトルは「魔法犬花丸のひみつ」。謎の犬花丸の正体に迫る話になるようで、早くもシリーズのターニングポイントになりそうです。わたしは花丸の駄犬っぷりが気に入っているので、あまり核心には迫らずに肩すかしで終わってくれた方がありがたいのですが。