- 出版社/メーカー: ポット出版
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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戦後の児童書出版についての概観が述べられています。一般の読者にはあまりなじみのない児童書の商売としての面に触れられていたのが興味深かったです。
例えばハリポタの影響について、児童書の翻訳権が高騰し、並みの出版社*1では買えなくなったと負の面が指摘されています。
本来ならば児童書は家庭工業のように細々とつくっていたのが、世界経済の構図みたいなものに巻き込まれたことが、一番の不幸だったんじゃないかと思います。逆にそういう中で非常に大きなビッグビジネスを追う風潮も盛んになってきて、その一番の典型が『ハリー・ポッター』なわけです。(23ページより引用)
偕成社が課題図書から外れているということもはじめて知りました。課題図書になったら本が売れまくってうはうはだろうと単純に考えてしまいますが、広告料という落とし穴があるそうです。読書感想文コンクールの元締めの毎日新聞に出す広告料は小学校で1500万円、中学校で800万円、高校で550万円もかかるそうです。これでは中小の出版社は大変だろうなあと思います。
最後に学校図書館でセット販売の児童書が売れにくくなったとのぼやきが披露されています。学校図書館の司書が単品で選ぶようになったためだということですが、これは教育現場の側から見れば学校に目利きのできる人材が育ってきたということで、むしろ喜ぶべきことじゃないかと思います。