「ナイショでヒミツのクレヨン王国」(福永令三)

ナイショでヒミツのクレヨン王国

ナイショでヒミツのクレヨン王国

 「クレヨン王国」の個々の作品を巡るエッセイ集です。裏話めいた話題も多く、ファンなら楽しめる充実の内容になっています。それぞれの時期にクレヨン王国を見限った方にもおすすめできます。
 「とんでもない虹」以降ルカ、モニカ等の新キャラが台頭した理由なんかは笑えました。しかし、当初は一話完結方式だったシリーズが「月のたまご」や「とんでもない虹」などを境に王国内での事件が積み重なっていく方式にゆるやかに変質したことは、クレヨン王国を語る上で避けて通れない重要な問題です。その理由のひとつがこうもあっけなく明かされてしまったのは大変なことなのかもしれません。
 福永令三の柔軟性にも驚かされます。1928年生まれのいいおじいちゃんが携帯電話のメールの美点を的確に分析しているのがすごい。また、彼がアニメ版の「夢のクレヨン王国」を全肯定していることも意外でした。原作者的に「ン・パカ・マーチ」はありだったのか。