「氷あめのひみつ」（日比茂樹）

氷あめのひみつ (ぶんけい童話館)

　自転車に乗ってあちこち走り回ることが好きなちょっとじじむさい少年タクが主人公。ある日タクはなにかに引きつけられるようにして入った路地で不思議な体験をします。なんとタクの自転車が幼児のこぐ三輪車に抜かれてしまったのです。タクは三輪車の幼児と再会するために路地を彷徨し、恐ろしい秘密を知ることになります。
　三輪車に乗る幼児なんてホラーとはまったく無縁なものに見えますが、そんな素材と恐怖を結びつけたセンスに恐れ入ります。終盤の盛り上がりはなかなかのものでした。