「蜜蜂の家」(加藤幸子)

蜜蜂の家

蜜蜂の家

 加藤幸子の新作YAです。彼女が理論社から本を出すのは1999年の「茉莉花の日々」以来です。作中に登場する文学少女が「第七官界彷徨」を読んでいるところが加藤幸子らしいです。
 都会の会社を辞め山村の養蜂場「蜜蜂の家」に勤めることになった女性理枝の物語です。養蜂業というとなんとなくのどかそうなイメージが持たれますが、実際は野生との戦いです。さらに現実的な商いの問題も無視できません。なかなか厳しい世界のようです。
 「蜜蜂の家」の人々はそれぞれいろんな問題を抱えていますが、特別感情を爆発させることもなく淡々と日々をやり過ごしています。そんな普通の生活者のたくましさが好ましいです。