- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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ふたりの文豪のキャラクターが傑作でした。アンデルセンは雑誌で著作をけなされたショックでディケンズの家の前の芝生に転がって泣きわめいていました。そんなアンデルセンをディケンズはこう励まします。
「いいか、アンダーソン君、きみの名前と作品は不滅だ。百年後も二百年後も、文学というものがあるかぎり、きみの名前は残る。だが、書評なんてものは、一週間もたてば、おぼえているやつなんていやしない。砂浜に棒きれで書かれた文字も同然だ。波がひとつ来ただけで消えてしまうんだ」(p69)
ディケンズはいいやつです。でもアンデルセンは天然で、「いつまでもわが家にいてください」という社交辞令を真に受けてディケンズの家に居座り、迷惑をかけまくります。あとがきによるとこれらのエピソードはすべて事実だそうです。いや、おそろしい。