毒親には殺意を抱いてもよいのだということがはっきりと書かれているので、この作品に救われる子どもはたくさんいるはずです。また、「子どもは親を選んで生まれてくる」という虐待親に都合のいいトンデモ理論を作中で叩きのめしているところもポイント高いです。この理論は親学と結びついているので、教育の現場に入り込んで子どもに実害を及ぼす危険性があります。そうしたトンデモと戦ってくれる児童文学作家が増えてくれるのは、とても心強いです。
最終核戦争から数百年後の世界で、
ロストテクノロジーとなった「翼」を手に入れて自由を求める少年の物語。リリシズムとロマンチシズムたっぷりに、空を飛ぶこと・自由を得ることへの渇望や運命の流転が描かれていて、読ませます。主人公と病弱な親友の微BL風味も、よい味付けになっています。
小学生からの幼なじみ三人組が、中学生になって境遇がかわりあれやこれやする話。
片川優子らしく、闇が全然ない光のYAになっています。
翻訳児童文学を読んで子ども時代を過ごした人は必読の読書エッセイ。名訳へ
*1のリスペクトと愛着など、共感することばかりです。
講談社文芸文庫でじっくり継続中の
少年倶楽部名作選の新刊は、『苦心の学友』。平民の優等生が伯爵家の息子のご学友に選ばれ、学校で苦労する話です。主人公の名前が正三なので「
正三位」という悪口を与えられるとか、ギャグものどかです。いまの感覚だとギャグは薄味に感じられてしまいますが、慣れてくるとけっこう楽しめます。