『ふたごチャレンジ! 7 甘くてしょっぱい!?初チョコ作り』(七都にい)

バレンタイン回ということで、それぞれの恋愛模様が盛り上がっていきます。が、このシリーズなので、根底にある問題意識は複雑です。

いつもよりさらに、「男子」と「女子」の「境界」が、くっきりわかれる感じがあって……。

そもそもあかねは、バレンタインは分断イベントであるという認識を持っていました。かえでも、藤司くんに対する「トクベツ」な感情に悩みます。かえでは自分たちの関係を、「物語の世界なら「コメディ」ってことになりそうだな」と、ある意味メタ的に感じています。「ふたごチャレンジ!」シリーズはラブコメとしても優秀な作品で、強力なライバルが現れて藤司くんがミイラ化する場面などは笑えます。でも、かえでが懸念する点をコメディにしない姿勢は強く打ち出しています。
かえでの立場について、踏みこんだ議論もなされます。

「心の性別ってハッキリさせなきゃいけないの?」
「でも、ぼくは『どっちでもない』とさえ選べないんだ」
「逆に『もう女の子にする!』って決めちゃったら、ラクにならないの?」

はっきりとさせなくてもいいという認識が議論の前提になっているあたり、時代の進歩が感じられます。
ところでわたしは、ふたりの関係性が明確になるまでは控えておこうと、作中のあるカップルについて意図的に言及を避けていました。かえでにひとつのロールモデルを示すため、7巻で満を持してそれが明かされました。でも、かえでにとってはふたりが「トクベツ」であることは明白だったようで、その「トクベツ」はなんということのない「トクベツ」として扱われます。となると、あえて黙っていたわたしの態度こそ差別意識のあらわれだったのではないかとも思えてきます。
まじめな話はおいといて、今回よかったのはあまりにもイケメンすぎるマスク外し吉良くんと、ぐぬぬ顔の鈴華ちゃんでしたね。