訃報・倉橋由美子

星の王子さま」の新訳を手がけているというニュースを聞いた時には、まさかこれが遺作になってしまうとは思ってもみませんでした。早すぎる死です。ご冥福を祈ります。
 彼女は文学的にも政治的にもいろんな戦略を持って書いていた作家ですが、わたしにとっては魅力的な幻想文学の書き手でした。「パルタイ」「聖少女」「ポポイ」「スミヤキストQの冒険」「アマノン国往還記」それから「残酷童話」も、どれも大好きな作品です。もう彼女の新作を読めないのは寂しいです。でも、彼女ならなんでもないことのようにこの世とあの世を行き来してまた小説を発表してくれそうな気もします。