「怖いこわーい町」(内藤誠)

怖いこわーい町 (こみね創作児童文学)

怖いこわーい町 (こみね創作児童文学)

 表紙画像が出てこないのが非常に残念です。少年の頭がパックリ割れて、中からクレーターのついた星のようなものが出ているイラストです。これを見せられただけで十分怖いです。小説、イラストともに看板に偽りのない怖いこわーいものになっています。
 内容は、少年野球団の子供が出会う様々な怪異の話です。近所の洋館に住む画家のお姉さんの運命。延長戦まで投げても全然疲れを見せない少年ピッチャーの秘密。民話調のもあり、超能力ものもあり、先端科学ものもありで幅広い守備範囲を誇っていますが、これがふしぎと違和感なくひとつの物語の中に収まっています。状況説明を最低限にして核心の部分は読者の想像にゆだねるという典型的な怪談の語り口が成功していてとにかくこわいです。