「子どもの替え歌傑作集」(鳥越信)

平凡社ライブラリー 子どもの替え歌傑作集
平凡社ライブラリー 子どもの替え歌傑作集」(鳥越信

日陰に咲いた徒花のごとき裏の文化、つまり親や先生の前では堂々と歌えないタブーの文化

 替え歌について鳥越信はこのようにに述べています。替え歌は確かに下品だったり暴力的だったり猥褻だったりして、大きい声で歌えるたぐいのものではありません。でもそれだけに子供の本音に近い部分が出ていて興味深いものです。そういった意味で替え歌は反骨の文化、反権力の文化といえると思います。
 たとえばあの戦争の時代、「紀元二千六百年」の替え歌が生まれています。皇紀をたたえる厳粛な歌のはずなのに、たばこが値上がりしてつらいという率直な国民感情が替え歌では歌われています。こんなところにある意味人間の健全さが感じられます。
 かたい話はぬきにして、下品で暴力的で猥褻な裏文化を楽しむ本として読めばいいと思います。特に「B面」と名付けられた章、日陰の文化である替え歌の世界でもさらに隠れた歌を集めた部分は必見です。