「子どもを食べる大きな木の話」(レオポルド・ショヴォー)

子どもを食べる大きな木の話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈2〉 (福音館文庫 物語)
子どもを食べる大きな木の話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈2〉 (福音館文庫 物語)」(レオポルド・ショヴォー)
 ショヴォーも形容のしようのないふしぎな作風の作家です。妙に筋が通っているんだけれど、どこか釈然としないものが残ります。ショヴォー氏が息子のルノーくんにお話を聞かせるという形式になっています。
 表題作の「子どもを食べる大きな木の話」は、タイトルそのままの話です。木が子供を食べるという時点で充分シュールです。木はいっぺんに子供を3人までしか食べられません。だから、4人以上の子供が通りかかったときはぐっと我慢して食べるのをあきらめます。だから証人が残らないので、人々は何で子供がいなくなるのかを知ることができません。そこで人々が取る行動がぶっ飛んでいます。なぜか「炭焼き」が怪しいと決めつけて、炭焼きを皆殺しにしてしまうのです。炭焼きがフランスでどんな偏見を持たれているのか知らないので安易なコメントはできませんけど、何とも唐突に感じてしまいます。もちろん炭焼きを殺しても子供がいなくなる事件は終わりません。すると今度はおおかみを皆殺しにします。そしてとうとう山の動物はみんな殺されてしまいます。んで、木こりが偶然木が子供を食べる場面を目撃し、木を倒します。切られた木からくべられた子供達が出てくる場面がこの表紙です。小さい人がわらわらと。なんともいえません。