「若おかみは小学生!」(令丈ヒロ子)

若おかみは小学生! 花の湯温泉ストーリー(1) (講談社青い鳥文庫)

若おかみは小学生! 花の湯温泉ストーリー(1) (講談社青い鳥文庫)

 書店での平積み状況から鑑みるに、この「若おかみ」と「夢水」、「パスワード」が現在の青い鳥文庫の三本柱だといってよさそうです。
 売れているだけあって確かにおもしろい。主人公のおっこは交通事故で両親を亡くし、旅館を営む祖母の元で暮らすことになります。それで、若おかみとしてけなげに働くことになるわけです。不幸を売りにした典型的な少女小説で、非常に手堅いつくりです。とにかくこのおっこがとんでもなくいい子で、失敗しながらもおかみとして確実に成長していくさまは見ていて気持ちがいい。王道の教養小説になっています。
 さらにキャラクターの使い方がうまい。特にライバルの秋好旅館の娘、「ピンふり」の立ち位置がいですね。このキャラはこの先もおいしいところを全部さらっていきそうです。
 現在6巻まで刊行中。地道に読みすすめていくことにしましょう。