- 作者: 福永令三,三木由記子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/06/15
- メディア: 新書
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主人公は5年生のカッちゃんはこりっぽい性格の持ち主。すぐカッとするからカットマンというあだ名を付けられています。で、クレヨン王国のクレヨン達が彼のことを心配して、「カッとなるのは肝臓をいためる。すると、顔色も目玉も黄色になって、黄疸になる」だの「怒りのエネルギーが、ややもすると、社会的な犯罪に向けられる」だの話し合うんですよ。なかの一人のクレヨンなど、彼の怒りをクレヨン王国の悪いものの吹きだまりである「水色の魔界」に捨てようと提案する始末です。
出た!クレヨン王国の得意技、いらぬおせっかい。そんな一小学生の性格の問題なんかにいちいち介入してくれなくていいですよ。他にやることないの?クレヨン達ってそんなに暇なの?
さらに強烈なのが自然保護思想。カッちゃんは魚たちによって水色の魔界に連れ去られ、ひどい目にあわされます。なぜ魚たちがこんな事をするかというと、人間に仲間を殺され住処を追われたことに対する復讐だというのです。
彼らの言い分はこう。「おまえら人間が、すべての命を資源と称してかってに管理し、なぶり殺しにしていくのをみて、われわれの忍耐も限界にきた」だそうです。そして仕返しに、人間を網ですくったり、パン食い競争の要領で釣ってみたりします。
恒例のポエムもかなりきてます。少し引用します。
きたないことなら 大すきで
地球一家の 鼻つまみ
血だらけ人間 うそだらけ
ざんこく人間 だますだけ
ちらかし人間 よごすだけ
極端に説教が暴走している本作。なのにというか、だからこそというか、これがものすごくおもしろいんですよ。奇抜な設定もストーリーも道具立ても、福永令三以外では表現し得ないものです。クレヨン王国のおもしろさは他のお話では代替不能なんです。だから文句を言いつつも楽しく読んでしまいます。