「怪盗クイーンはサーカスがお好き」（はやみねかおる）

怪盗クイーンはサーカスがお好き (講談社青い鳥文庫)

　ダウナー系の夢水清志郎に対して、アッパー系のクイーンといったところでしょうか。怪盗クイーンは飛行船を乗り回し、ＲＤという高性能の人工知能まで所有しています。荒唐無稽さは格段にあがっています。
　豪勢な飛行船のなかでネコのノミ取りをしているというアホらしさでまず読者を引き込んでくれます。高飛車なクイーンに、不幸を背負い込むタイプの助手ジョーカー。つっこみ役のＲＤ。キャラクターの配置も手堅いです。
　おそらくこのシリーズの肝は、クイーンの特殊能力にあるのでしょう。本書は第一作ですから読者はその秘密を知りません。おそらくこんなところだろうと予想しながら読み進めていけます。しかしこの厄介な縛りのある能力をシリーズのお約束として何回も機能させるのは難しそうに感じます。このあたりをどう処理しているのかが見物です。