アスターシャの母さんのフルールは、「とても力が強く、声も大きく、いびきも、ものすごい」きょうりゅうです。ある日フルールは、いなくなってしまった
アスターシャを捜してきょうりゅうの丘を駆けめぐり、大騒動を起こします。父さんのブルールを投げ飛ばし、乱暴者のきょうりゅうギャララ
イカも投げ飛ばし、森の木々をなぎ倒し、とうとう
アスターシャを見つけます。
アスターシャはボーイフレンドの
ベレンタムと遊んでいただけだったのですが、フルールは
ベレンタムも投げ飛ばしてしまいます。フルールの乱暴に困ったきょうりゅうたちは、ねているフルールを崖から落とすという、とんでもない決議をします。しかし投げ落とされたフルールは、崖の下からきょうりゅうの丘を持ち上げ、投げ飛ばしてしまいました。
子供の自立を阻む母親の暗黒面を描いていると深読みすることもできますが、この場合は母親パワーというより、フルール個人のエキセントリックさと理解する方が正しいでしょう。シュールなまでにパワフルなフルールの姿をおもしろがって眺めていればいいと思います。梶山俊夫によるイラストも、とぼけた迫力を持っていて笑わせてくれます。