「コン・セブリ島の魔法使い」(別役実)

コン・セブリ島の魔法使い

コン・セブリ島の魔法使い

 古代オトマール語で書かれた本を解読してもらうため、トカマンテ君はコン・セブリ島に魔法使いを捜しに旅立ちます。ところが魔法使いはウスラシロという魔物を封印しているので、島から離れることができません。トカマンテ君は奇々怪々なコン・セブリ島を冒険して、無事魔法使いを連れ出すことができるのか?
 と、あらすじだけ見るといかにも正統派の探索ものファンタジーのように見えてしまいますな。でも、そこは別役節(およびスズキコージワールド)。コン・セブリ島の幻想的な世界は楽しませてくれます。でも、迷信と科学という大テーマを出したかと思ったら、別役流のはぐらかしにあい、あんな脱力のオチですよ。すばらしいの一言です。
 1981年に旺文社より刊行された作品です。そして2004年に復刊ドットコムによって復刊されました。復刊ドットコムではさらにそよそよ族伝説も復刊されています。別役実は演劇を中心として多彩な活躍をしている人ですが、これをきっかけに童話作家としての認知度も上がってほしいと思います。。